本物の膵臓はどんな形?実物大の膵臓模型で見る位置・形・2つの働き

人間の体の不思議

第15回 本物の膵臓はどんな形?・・・実物大の膵臓模型で見る、位置・形・2つの働き

膵臓(すいぞう)は、名前はよく聞くのに、どこにあって、どんな形をしているのかが、なかなか思い浮かばない臓器です。

それもそのはずで、膵臓は胃の裏側、お腹の奥の背中側に隠れています。お腹の前から見ても、胃や腸に隠れてほとんど見えません。

今回の第15回では、実物大の膵臓模型の写真を使って、

・膵臓が体のどこにあるのか
・大きさ、形、色
・消化液をつくる働きと、ホルモンをつくる働き
・膵液と胆汁が十二指腸に流れ込むしくみ

を順にご紹介させて頂きます。

膵臓は、胃の裏側に横たわっている

実物大の膵臓・脾臓・十二指腸模型|本物の膵臓の形と位置関係

実物大の膵臓・脾臓・十二指腸模型。左のC字形の管が十二指腸、中央から右へ伸びるつぶつぶした臓器が膵臓、右端の赤褐色の臓器が脾臓です。

上の写真は、膵臓と、そのまわりの十二指腸・脾臓を実物大で再現した模型です。

膵臓は、胃のすぐ裏側で、お腹の奥の背骨の前あたりに、横向きに寝そべるように位置しています。高さでいうと、みぞおちとおへその間くらいです。

右の端は、胃に続く十二指腸がC字形に曲がった内側に、はまり込んでいます。そこから体の左側へ向かって細長く伸び、左の端は脾臓(ひぞう)に届いています。

膵臓は、小腸の大部分のように膜(腸間膜)でぶら下がっているのではなく、お腹の後ろの壁に張り付くように固定されています。こうした臓器を「後腹膜臓器(こうふくまくぞうき)」と呼びます(ただし、脾臓側の端の部分は例外的に膜に包まれています)。

長さ約15センチ、重さは70〜100グラムほど

成人の膵臓は、長さがおよそ15センチほどの細長い臓器です。重さはおよそ70〜100グラムほどとされています。

第5回でご紹介した肝臓(1,000〜1,500グラム)と比べると、10分の1以下の重さです。

ただし、これらは目安で、体格や年齢によって幅があります。文献によって示される数値も少しずつ違います。

膵臓は、右から順に次のように呼び分けられています。

膵頭部の下の端には、左下へ回り込む「鉤状突起(こうじょうとっき)」という部分があります。また、膵頭部と膵体部の間の、少しくびれた部分を「膵頸部(すいけいぶ)」と呼ぶこともあります。

本物の膵臓の色と手ざわり

生きている人の膵臓は、淡いピンク色〜クリーム色をしています。第5回でご紹介した赤褐色の肝臓と比べると、ずっと白っぽい色です。

表面は、なめらかではなく、小さな粒が寄り集まったような、つぶつぶした見た目をしています。膵臓が、消化液をつくる小さなかたまり(小葉)がたくさん寄り集まってできているためです。

上の模型も、この粒々とした表面を再現しています。なお模型では、膵臓の構造が分かりやすいよう、色は実物よりもはっきりしたオレンジ色で塗り分けられています。

膵臓の1つ目の働き・・・消化液(膵液)をつくる

膵臓の中を通る主膵管と副膵管|実物大の膵臓模型

膵臓の中を通る膵管が見えるように作られた部分。中央を横に走る白い管が、膵液を運ぶ膵管です。

膵臓の働きは、大きく2つに分けられます。

1つ目は、食べ物を消化するための消化液、膵液(すいえき)をつくることです。膵液は1日におよそ1〜1.5リットルつくられています。

膵液には、次の3種類の栄養素をそれぞれ分解する消化酵素が含まれています。

さらに膵液はアルカリ性で、胃から送られてきた酸性の食べ物を中和する役割も持っています。

第4回で「栄養を吸収しているのは胃ではない」とご紹介しましたが、食べ物の本格的な消化が進むのは、この膵液が流れ込む十二指腸から先の小腸です。

膵臓でつくられた膵液は、膵臓の中を尾から頭へ貫く管、膵管(すいかん)に集められ、十二指腸へと運ばれます。上の写真で、膵臓の中央を横に走っている白い管が膵管です。

膵液と胆汁は、十二指腸の同じ出口から流れ込む

十二指腸の内側に開く膵管の出口(十二指腸乳頭)|実物大の膵臓模型

十二指腸の内側の拡大。白い管が膵管(4が主膵管、5が副膵管)で、十二指腸の壁の出口に向かっています。

膵管には、太い「主膵管(しゅすいかん)」と、細い「副膵管(ふくすいかん)」があります。

主膵管は、膵臓の尾から頭まで膵臓の中を通り抜け、十二指腸の壁にある小さな出口、「大十二指腸乳頭(だいじゅうにしちょうにゅうとう)」に開いています。この出口は「ファーター乳頭」とも呼ばれます。副膵管は、それより2センチほど上にある「小十二指腸乳頭(しょうじゅうにしちょうにゅうとう)」に開いています(副膵管が細く、はっきりしない人もいます)。

裏側から見た膵臓・十二指腸の模型|膵頭部の後ろを通る緑色の総胆管

模型を裏側から見たところ。緑色の管が、肝臓から胆汁を運ぶ総胆管です。

一方、肝臓でつくられた胆汁(たんじゅう)を運ぶ管、総胆管(そうたんかん)も、膵頭部の後ろを通って十二指腸へ向かっています。上の写真の緑色の管がそれです。

多くの人では、この総胆管と主膵管が十二指腸の壁の中で合流し、同じ出口(大十二指腸乳頭)から、膵液と胆汁がいっしょに十二指腸へ流れ込みます。

胆汁については、第5回「本物の肝臓はどんな形?」で詳しくご紹介しています。

膵臓の2つ目の働き・・・血糖を調整するホルモンをつくる

膵臓のもう一つの働きは、血液の中の糖(血糖)の量を調整するホルモンをつくることです。

膵臓の中には、消化液をつくる細胞のあいだに、ホルモンをつくる小さな細胞のかたまりが、島のように点々と散らばっています。発見者の名前をとって「ランゲルハンス島」(膵島:すいとう)と呼ばれます。

ランゲルハンス島は、膵臓全体の体積のうち、わずか1〜2%ほどしかありませんが、数は100万個前後(推定には数十万〜数百万個と幅があります)とされています。

ランゲルハンス島からは、主に次の2つのホルモンが分泌されます。

このように膵臓は、消化液を腸に出す働き(外分泌)と、ホルモンを血液に出す働き(内分泌)という、性質のまったく違う2つの役割を、一つの臓器で受け持っています。

インスリンの働きが足りなくなると、血糖が高い状態が続く「糖尿病」につながります。

膵臓は、体の奥にあって見つけにくい

胆嚢・膵臓 病変模型|膵臓と十二指腸の断面、胆嚢の胆石を再現

胆嚢・膵臓 病変模型。膵臓と十二指腸の断面、胆嚢の中の胆石、膵臓のがんが再現されています。

膵臓は、胃や腸の後ろ、お腹の奥の背中側にあるため、ふつうはお腹の外から触れることはできません。お腹の超音波検査でも、胃や腸の中のガスにさえぎられて、膵臓の全体が見えにくいことがあります。

そのため、膵臓の病気は、はじめのうちは見つけにくいことがあります。上の写真は、胆嚢の中にできた石(胆石)や、膵臓にできたがんを再現した病変模型です。

気になる症状がある場合や、検診で指摘を受けた場合は、自己判断をせず医療機関にご相談ください。

写真や模型を見るときは、この順番で

膵臓の写真や模型を初めてご覧になるときは、次の順番で見ていくと、全体の形が頭に入りやすくなります。

このように膵臓は、胃の裏側に隠れた小さな臓器でありながら、消化とホルモンという2つの大切な働きを受け持っています。

・胃の働きについては、第4回の記事をご参照下さい。
・肝臓と胆汁については、第5回の記事をご参照下さい。

※本連載は、教材・展示のための解説です。症状や治療に関することは、必ず医療機関にご相談ください。

第15回 本物の膵臓はどんな形?で用いた人体模型は・・・

動画で見る 膵臓・脾臓・十二指腸

ここまでご説明した内容を、実際の人体模型の動画でご覧いただけます。
※動画は1本目が36秒、2本目が44秒です。再生の際は音が出ますのでご注意ください。

膵臓、脾臓、十二指腸模型(36秒)

※2本目は「胆嚢・膵臓 病変模型」の動画で、1本目とは別の商品です。

構造をご自身の目で確かめたい方、患者さんやご家族・学生さんへのご説明にお使いになりたい方は、こちらから模型をご覧いただけます。

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