鼻の断面図・・・鼻の中はどうなっている?人体模型で解説!

人間の体の不思議

第6回 鼻の中はどうなっている?・・・鼻の断面図を人体模型で解説!

鼻の中は、思ったよりずっと広い

子供さんからよく出る質問のひとつに、「鼻の穴はどうして2つあるの?」「鼻水はどこから出てくるの?」というものがあります。

顔の真ん中にありながら、鼻の中がどうなっているかを見たことがある方は、ほとんどおられないと思います。

そこで第6回である今回は、「鼻の中はどうなっているのか?」ということについてお話させて頂きます。

鼻は、単に空気を吸い込むための穴ではありません。吸い込んだ空気を温め、湿らせ、ゴミを取り除いてから肺へ送るという、大切な役割を持っています。

以下、人体模型の断面を見ながら、順にご説明させて頂きます。

下の写真は、鼻から喉にかけての正中断面(真ん中で縦に切った断面)を再現した人体模型です。

多くの方は、鼻の穴の奥は「まっすぐ喉につながっている短い通り道」だと思っておられます。

しかし実際には、鼻の穴の奥には「鼻腔(びくう)」という広い空間が広がっており、その奥行きは大人で7センチほどもあります。

目と目の間のあたりから、耳のあたりの高さまで、顔の内部に大きな空洞があるとイメージして頂くと分かりやすいかと思います。

鼻・口・咽頭・喉頭部の正中断面模型

鼻腔は、真ん中にある「鼻中隔(びちゅうかく)」という仕切りによって、左右に分けられています。

これが「鼻の穴が2つある」理由です。

鼻中隔は、前の方が軟骨、奥が骨でできています。この仕切りが完全にまっすぐな方はむしろ少なく、多少どちらかに曲がっているのが普通です。

鼻の中のひだ・・・「鼻甲介」の役割

鼻腔の外側の壁には、「鼻甲介(びこうかい)」と呼ばれる3段のひだが、棚のように張り出しています。

上から順に、上鼻甲介・中鼻甲介・下鼻甲介と呼ばれます。

模型の断面を見て頂くと、この3段のひだがはっきりと確認できます。

このひだがあることで、鼻の中の表面積は大きく広がります。平らな通り道であれば数平方センチしかないところが、ひだのおかげで手のひらほどの面積になるのです。

なぜ表面積を広げる必要があるのでしょうか。

それは、吸い込んだ空気を「調整」するためです。

鼻甲介の表面は、毛細血管が豊富な粘膜でおおわれています。ここを通ることで、外の冷たく乾いた空気は、体温近くまで温められ、湿り気を与えられます。

冬の寒い日でも、肺には温かく湿った空気が届いているのは、この鼻甲介の働きによるものです。

口で呼吸をすると喉を痛めやすいのは、この「空気を整える装置」を通らずに、外の空気がそのまま喉へ届いてしまうためです。

鼻水は、体を守るしくみ

鼻の粘膜からは、1日におよそ1リットルもの粘液が分泌されています。

「そんなに鼻水は出ていない」と思われるかもしれませんが、その大部分は気づかないうちに喉へ流れ、飲み込まれています。

この粘液には、空気中のホコリや細菌をからめとる役割があります。

さらに、粘膜の表面には「線毛(せんもう)」という細かい毛がびっしりと生えており、これが一定のリズムで動いて、ゴミをからめとった粘液を喉の方へと運び出しています。

鼻の入口にある鼻毛は、もっと大きなゴミを止めるフィルターです。

つまり鼻は、「鼻毛で大きなゴミを止め、粘液で細かいゴミをからめとり、線毛で外へ運び出す」という三段構えで、肺を守っているのです。

風邪をひいたときに鼻水が増えるのは、この防御のしくみが活発に働いている状態だとお考え頂くと分かりやすいかと思います。

においを感じるのは、鼻の一番上

においを感じる場所は、鼻の穴の入口ではありません。

鼻腔の一番上、上鼻甲介のあたりに「嗅上皮(きゅうじょうひ)」という、切手ほどの小さな領域があります。

ここに、においの分子を受け取る細胞が並んでいます。

受け取った情報は、すぐ上にある骨の細かい穴を通って、脳へと伝わります。

においをよく嗅ごうとするとき、無意識に「くんくん」と強く鼻を鳴らすのは、空気を鼻腔の上の方まで届けようとする動きなのです。

風邪をひいてにおいが分からなくなるのは、粘膜が腫れて、においの分子が嗅上皮まで届かなくなるためです。

また、食べ物の「味」だと思っているものの大部分は、実はにおいです。鼻をつまんで食べると味気なく感じるのは、そのためです。

鼻と喉と耳は、つながっている

模型の断面を見て頂くと、鼻の奥が下に折れ曲がって、喉へと続いていることが分かります。

鼻の奥の突き当たりから喉にかけての部分を「咽頭(いんとう)」、その下の声を出す部分を「喉頭(こうとう)」と呼びます。

食べ物と空気は、この咽頭で交差します。空気は喉頭から気管へ、食べ物は食道へと分かれていきます。

食事中にむせるのは、この分岐がうまくいかなかったときに起こる現象です。

鼻・口・咽頭・喉頭部の断面

さらに、咽頭の横の壁には「耳管(じかん)」という細い管の入口があり、これが中耳(耳の鼓膜の奥)につながっています。

飛行機やトンネルで耳が詰まったとき、つばを飲み込んだり、あくびをしたりすると治るのは、この耳管が開いて中耳の圧力が調整されるためです。

鼻と喉と耳が一本でつながっていることは、模型の断面で見ると一目で理解できます。

鼻血が出やすい場所は決まっている

鼻血の多くは、鼻の入口から1センチほど入った、鼻中隔の前の方から出ます。

この部分は「キーゼルバッハ部位」と呼ばれ、細い血管が集まっている場所です。

粘膜が薄く、指が届く場所にあるため、少しの刺激でも出血しやすくなっています。

子供さんの鼻血がここから出ることが多いのは、鼻をこすったり、いじったりしやすいためです。

顔の骨の中の空洞・・・「副鼻腔」

鼻腔のまわりの骨の中には、「副鼻腔(ふくびくう)」という4対の空洞があります。

おでこの奥(前頭洞)、目と目の間(篩骨洞)、頬の奥(上顎洞)、そして鼻のさらに奥(蝶形骨洞)です。

これらはすべて、細い穴で鼻腔とつながっています。

副鼻腔があることで頭の重さが軽くなり、また声が響くようになっています。自分の声が頭の中で響いて聞こえるのは、この空洞のためです。

鼻の構造は、外から見ただけでは決して分かりません。

断面を見て初めて、「こんなに奥行きがあったのか」「耳とつながっていたのか」と実感できる部分です。

学校の授業や、患者さんへのご説明の場面で、言葉だけで伝えるのが難しいのは、このためです。

第6回 鼻の中はどうなっている?で用いた人体模型は・・・

動画で見る 鼻の中の構造

ここまでご説明した鼻の断面を、実際の人体模型の動画でご覧いただけます。
※動画は28秒です。再生の際は音が出ますのでご注意ください。

鼻の構造をご自身の目で確かめたい方、患者さんやご家族・学生さんへのご説明にお使いになりたい方は、こちらから模型をご覧いただけます。

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