脳の解剖を人体模型で、分かりやすく解説

人間の体の不思議

第3回 人間の体の司令塔・・・「神秘の脳」

脳は人体の全ての機能の司令塔と言われています。
人間の脳には、どんなスーパーコンピューターよりもすぐれた機能が備わっており、いくつかのパーツに分かれています。

それぞれのパーツは、一体どんな役割を果たしているのでしょうか?
今回は、脳を分解して、それぞれの機能をご紹介させて頂きます。

まずは、全体像を見てみましょう。
脳を下から見ると、こんな感じです。

脳全体

これが、脳の全体像です。
大きいのが大脳半球、右上にある小さい部分が小脳、飛び出ている部分が脳幹部です。
脳幹部は下に行くと、脊髄につながっています。



それでは、パーツごとに見ていきます。

1、大脳半球
多くの方は、「大脳半球」=「脳」と思っておられるのですが・・・
脳には大脳半球以外にも、小脳、間脳や脳幹などがあります。

大脳半球は脳全体のうちの80%の体積を占めており、最大の領域です。
よく「右脳は直感」とか「左脳は理屈」など言いますが・・・実際に脳は右半分と、左半分に分かれています。

そして、右半分は体の左側を、左半分は体の右側を支配しています。

たとえば、右手を動かすためには、脳の左半分から指令が出ます。
逆に左手を動かすためには、脳の右半分から指令が出ます。
これは、感覚についても同じです。
右手をつねると、「痛い!」と感じますが、これは脳の左半分で感じています。

大脳半球を取り外した様子を写真で見てみましょう。

大脳半球

これは、大脳半球の上の方を取り外した様子で、主に前頭葉、頭頂葉の部分です。
脳の右半分と左半分の間は、「脳梁」という部分になっていて、神経の束が集まっています。

大脳半球は大きく4つのパーツに分かれていて、視覚や聴覚、記憶など・・・それぞれのパーツごとに役割分担がされています。



2、小脳
小脳は体のバランスをとるのに活躍しており、機能が低下するとふらついて立てなくなってしまいます。
また小脳の中には、運動などに栄養する神経線維が密集しています。

小脳部分

小脳は、左の写真のように左右に分かれています。
脳の中心部分は「小脳虫部」、左右の部分は小脳半球と言います。
小脳虫部には、数多くの神経が通っています。



3、間脳
間脳は、脳の正中部分に存在している部分で、視床と視床下部から構成されています。
視床は嗅覚以外の全ての感覚を脳に伝える中継点として働いています。
視床下部は、生命維持に関る、各種ホルモンを出す部分として活躍しています。

脳幹部

左の写真は、脳の断面の写真です。
21番が視床、22番が視床下部になります。
なお、23番は下垂体という部分で、視床下部の一部に該当します。
生命活動に不可欠なホルモンの分泌を司っています。



4、脳幹部
脳幹部は、中脳、橋、延髄が含まれています。
その名の通り、脳の幹となっている部分です。

中脳は、上記の間脳のすぐ下にあり、視覚と聴覚の神経の中継点です。
橋は、脳から全身に向かう神経、全身から脳に入ってくる神経の中継路となっており、様々な神経の通り道です。
延髄は神経の通り道であると同時に、呼吸に影響する呼吸中枢が存在しています。

脳幹部 拡大

左の写真は、脳幹部のみを取り出したパーツです。
脳幹部に沿って、赤いものが付いていますが、これは「椎骨動脈」という血管で、脳に血液を送りこんでいます。



このように、脳は様々な領域に分かれ、それぞれに役割があります。
脳の神経細胞の数は140億個存在すると言われており、その機能の全てはまだ明らかではありません。

これまでの回では、心臓や肺のことについてご紹介させて頂きましたが、心臓や肺も脳の指令が無いと全く機能することができません。
そういう意味では、「脳は最も重要な臓器である」と言っても過言ではないでしょう。

・心臓の仕組みのことに関しては・・・第1回の記事をご参照下さい。
・肺と呼吸に関しては・・・第2回の記事をご参照下さい。

次回・・・
第4回 「食べたものは胃で吸収される」・・・これは間違い!

※参考
第3回 人間の体の司令塔・・・「神秘の脳」で説明に用いた人体模型は・・・
実物大 精密脳模型 8分解モデルとなります。
人間の脳を等身大で忠実に再現しています。8つに分解でき、脳幹部や間脳なども観察することができます。

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