子宮の中はどうなっている?写真で見る妊娠1か月から7か月までの変化

人間の体の不思議

第9回 子宮と赤ちゃんの育ち方 妊娠1か月から7か月までを8種類の模型で見る

「おなかの中で赤ちゃんはどう育つのか」は、言葉だけで説明するのがいちばん難しい部類の話かと思います。

今回は、妊娠の経過を月ごとに再現した教材模型を使って、「子宮の中で何が起きているのか」を順にご説明させて頂きます。助産師学校・看護学校の授業や、産科で妊婦さんへご説明される場面で使われている模型です。

はじめにお断りしておきます。この記事の写真は、すべて樹脂で作られた教材用の人体模型です。人体標本や、実際の妊婦さんの写真ではありません。

妊娠していない子宮は、鶏卵ほどの大きさ

まず、妊娠していない状態の子宮からご説明させて頂きます。

子宮は、骨盤の中央、膀胱と直腸にはさまれた位置にある、洋なしを逆さにしたような形の臓器です。

大きさは鶏の卵よりやや大きいくらいで、長さ7センチ前後、幅4センチ前後。重さは50グラム前後です(出産を経験された方では、もう少し重くなります)。

壁は厚い筋肉でできていて、内側の空間はごくわずかしかありません。

下の写真は、妊娠1か月の状態を再現した模型です。

子宮・胎児発育 デラックス模型(妊娠1か月)

中央の切り開かれた部分が、子宮の内腔です。

左右に伸びているうち、薄紫の細い管が卵管、その先端の濃いピンクの塊が卵巣、下に広がる黄色い膜が広間膜です。

内腔をふちどる赤い層が子宮内膜、その外側の厚い部分が筋層で、赤と青の点はそこを走る血管の断面です。

この時期はまだ子宮の大きさがほとんど変わらず、中に小さな胎芽(たいが)が確認できる程度であることが、断面から分かります。

子宮の容量は、妊娠前の500〜1000倍になる

妊娠が進むと、子宮は容積を大きく変えていきます。

妊娠していない状態の子宮の内腔は、10ミリリットル以下。それが正期産のころには、胎児・胎盤・羊水を含む子宮内容量で平均5リットルほどになります。

容量にしておよそ500〜1000倍。子宮そのものの重さも、50グラム前後から1〜1.1キログラムまで増えます。

「風船のように伸びて薄くなるのだろう」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

妊娠の初期には、子宮の壁を作っている筋肉の細胞そのものが数を増やします。その後は、1つ1つの細胞が長さを大きく伸ばしていきます。

引き伸ばされているのではなく、筋肉が作り替えられているとお考え頂くと近いかと思います。

この変化も、出産のときの強い収縮を支える要素の1つです。

下の写真は、この模型の8種類を並べたものです。

子宮・胎児発育 デラックス模型(8種類の全体)

左側の小さなものから、手前中央の大きなものまで、8点とも実物大で作られています。

なお、この写真は週数の順には並んでいません。週数の順に並べ替えて頂くと、子宮がどれだけ大きくなるかが一目で分かります。

この模型を導入された産科からは、「妊婦さんに対して赤ちゃんの発育を教えてあげるのに活用しています。おなかの中の赤ちゃんが大きくなっていくところが目で見て分かる」というご感想を頂いています。

胎芽から胎児へ 呼び方が変わる時期がある

妊娠の時期によって、呼び方が変わります。

妊娠10週未満を「胎芽(たいが)」、妊娠10週以降を「胎児(たいじ)」と呼び分けます(日本産科婦人科学会の定義)。

この境目には理由があります。この時期までに、心臓・脳・手足といった主な器官のもとになる形が一通りできあがるためです。それ以降も、各器官の分化・成熟と成長が続いていきます。

模型では、この変化が大きさで示されています。

4か月から7か月にかけて、頭の幅がちょうど倍になることが分かります。

なお、この模型は6か月と、8か月以降が飛んでおり、6段階で構成されています。

胎児を取り外すと、胎盤と臍帯が見える

この模型のいちばんの特徴は、胎児を子宮から取り外せることです。

下の写真は、模型から胎児を外したところです。

子宮・胎児発育 デラックス模型(胎児を取り外した子宮の内部)

子宮の内側の壁に付いている、水色の板に赤と青の血管が枝分かれして描かれた部分。これが「胎盤(たいばん)」です。

そこから伸びる紫色のひもが「臍帯(さいたい)」、いわゆるへその緒です。

胎盤は、母体と胎児をつなぐ交換所です。

母体側の血液と胎児側の血液は、通常、別々の循環を保ち、直接混じり合いません。母体の血液が満たす空間と、胎児の血液が流れる毛細血管とが、胎盤関門と呼ばれる薄い隔たりごしに接しており、そこで酸素と栄養が胎児へ渡り、二酸化炭素と老廃物が母体へ返されます。

臍帯の中には、通常3本の血管が通っています。2本の動脈と、1本の静脈です。

写真をよくご覧頂くと、臍帯の切れ口に3つの点が見えます。これがその3本です。

臨月には、胎盤は直径20センチほど、重さ500グラム前後になります。

胎盤は、妊娠に伴って新しく作られ、役目を終えると体外へ出るという点で、ほかの臓器と大きく違います。

出産のあと、胎盤は卵膜や臍帯の胎盤側の部分とともに、「後産(あとざん)」として体外へ出ます。

言葉だけでは伝わりにくい部分ですが、胎児を外して内側を見て頂くと、位置関係が一度で理解できます。

胎児の向きは、1通りではない

この模型の妊娠5か月には、複数の状態が再現されています。

下の写真は、横位を再現したものです。胎児が子宮の中で横を向いていることが、断面から分かります。

子宮・胎児発育 デラックス模型(横位)

こちらは双生児です。2人がどのように収まっているかが一目で分かります。

子宮・胎児発育 デラックス模型(双生児)

これらは、ご説明で言葉だけでは伝えにくい部分です。

子宮の中でどういう向きになっているのかは、外からは見えません。模型を並べて「今はこちらの状態です」と指して頂くと、そのまま説明が済みます。

商品ページでも「産科や助産師さんの学校などで活躍している模型です」とご紹介しています。

なお、向きによる分娩方法の判断は医学的な領域ですので、本稿では扱いません。あくまで模型が再現している状態のご紹介にとどめます。

本物の子宮と、模型はどう違うか

「子宮の実物の写真が見たい」と思って調べられる方は多いのですが、実際の子宮の写真は、医学書や解剖学の資料以外ではほとんど目にする機会がありません。

そして本物の子宮は、模型ほどはっきり色分けされていません。

生きた状態では全体が淡いピンクから赤褐色で、筋肉の層と内膜の境目も、模型のような明確な線にはなっていません。

模型のピンク・黄色・赤・青は、どこが何かを見分けるための教材としての色分けです。

胎盤に描かれた赤と青も、血管を見分けやすくするための約束事であって、実物がこの色に分かれているわけではありません。

「では実物とは違うのか」と思われるかもしれませんが、教える目的では模型のほうが向いています。

本物の断面を見せても、色の差が小さく、どこが筋層でどこが内膜か、胎盤がどこから始まっているのかが伝わりません。

模型は、見分けられない境目を色で分け、取り外して内側を見せることができます。授業や妊婦さんへのご説明という目的には、そのほうが確実です。

模型を見せる順番

この模型は8種類あるため、いきなり全部を並べると情報が多すぎます。次の順で見せて頂くと伝わりやすいかと思います。

「妊娠前の500〜1000倍」という数字は、2つ並べた実物を見た後に出すと印象に残ります。

先に模型を見て頂いてから数字を添える、という順番は、この連載で繰り返しお伝えしている通りです。

※本連載は、教材・展示のための解説です。妊娠・出産に関するご心配や、症状・検査・分娩方法については、必ず産科の医師・助産師にご相談ください。

第9回 子宮と赤ちゃんの育ち方で用いた人体模型は

動画で見る 胎児の発育

ここまでご説明した8種類の模型を、動画でまとめてご覧いただけます。
※動画は3分29秒です。再生の際は音が出ますのでご注意ください。

※本記事の写真と同じ「子宮・胎児発育 デラックス模型」の動画です。

構造をご自身の目で確かめたい方、授業や妊婦さんへのご説明にお使いになりたい方は、こちらから模型をご覧いただけます。

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