第3話 東洋医学は、人体模型と関係が薄い
日本は幕末まで、東洋医学が主流であり明治以降、急速に西洋医学を取り入れてきました。
そして、それに伴って急激に日本に人体模型が入ってきました。
では、なぜ日本で東洋医学が主流であった時には、人体模型が日本に入って来なかったのでしょうか?
このページでは、人体模型と関連付けて、東洋医学について解説します。
日本における東洋医学とは古代中国が発祥であり、その後日本に伝えられ、日本の風土のなかで発展してきた医学(漢方医学)の総称です。
古代中国の黄河流域でおこり、発展したのが鍼灸療法であり、また揚子江流域およびそれ以南の地域でおこり、発展したのが漢方薬療法であるといわれています。
そのため東洋医学とは、薬物療法である漢方薬と、物理療法である鍼灸・手技療法(あん摩)を総合したものであると言えます。
西洋医学のように解剖学を基礎としないため。東洋医学には五臓六腑説や陰陽五行説という曖昧な人体認識があります。
東洋医学は西洋医学のように疾患をピンポイントで診ようとはしません。
深い見解を言いますと森羅万象、宇宙のリズム的な発想で疾患を診ていきます。
例えば2型糖尿病の患者さんがいるとすると、この患者が糖尿病となった原因は何かを考えます。暴飲暴食などの不摂生、そして運動不足、ここまでは西洋医学でも指摘出来得ることです。
東洋医学ではその先まで、思考を展開します。たとえば、暴飲暴食をするのは仕事でのトラブルや人間関係がうまくいっていないのかもしれない。また家庭内においても関係は良好ではなく、睡眠時間なども極端に少ないかもしれない。患者は生命のリズムに合致していない所が多々あるので、もしかしたら糖尿病以外の疾患があるかもしれない。
このように東洋医学は一つの疾患からあらゆる原因や他の疾患の可能性まで、敷衍して考えるのです。
このように、東洋医学とは、新陳代謝や自然治癒力を用いた体全体への治療となります。
そのため東洋医学全盛期は、精巧な解剖模型を内蔵した人体模型が出現しないのは当然であったかもしれません。
・・・第4話 「人体模型と3Dの画像」に続く

